こんにちは!ご覧いただきありがとうございます。
この度、『無隣館の窓』から
⻘年団若⼿⾃主企画vol.82 木村恵美子企画『青年団の窓』
へと改名させていただくことになりました!それに伴いURLも変更しました。 『青年団の窓』だなんて……。責任重大やないかい!!という気持ちはぬぐえませんが、これからもなるべくマイペースに楽しくやっていけたらと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
今回は、本日アトリエ春風舎にて初日を迎えた、
⻘年団若⼿⾃主企画vol.83 三橋企画
リーディング公演「⾃然な未来!」
の稽古場よりお届けします!!
ちなみに明日から青年団本体の公演
『東京ノート・インターナショナルバージョン』『東京ノート』
も吉祥寺シアターで始まりますが、
すみませんそちらは昨年の第0回豊岡演劇祭で書きました、
こちらの記事に代えさせていただければと思います。
個人的には『インターナショナルバージョン』がめちゃくちゃおすすめなので、是非是非です。もはやトンデモ体験みたいな観劇体験ができます。7ヶ国語が飛び交います。字幕を追うのが忙しいですが、『東京ノート』の内容が分かってるとそれも少し楽になるかと。
それから青年団の新拠点、江原河畔劇場開業へ向けたクラウドファンディングも始まっています。
私木村も実は色々やっております。こちらも是非詳細だけでも見てみて頂けたら嬉しいです。
さて、さて、さて。お待たせしました。本編に参りましょう。三橋企画の様子!!
今回は2演目のリーディング公演になっていて、上演回毎に演目が違うパターンの2演目公演になっております。1演目めは平田オリザの『この生は受け入れがたし』(以下、『この生』)、2演目めは演出も務める三橋君、三橋亮太の『あなたの目下には水が広がる』(以下、『目下』)。こちらは新作です。
稽古を拝見して、なるほどこれはある程度戦略的にやっているな、と思いました。『この生』では空間演出等、演出的なチャレンジがいくつか見られ、『目下』では、戯曲読解的な部分や演技演出に重きが置かれる。前者は、『演出家としての三橋亮太』、後者は『劇作家としての三橋亮太』を観ていただけるような構造になっていると感じました。また、今回は“「現代口語演劇」をアップデート(進化)”というテーマも掲げていて、2本合わせてそれを意識した構造にもなっています。ステイトメントがここから読めます。私は稽古しかまだ拝見していないんですが、どんな感じになっているのか、楽しみです。
では、三橋君の紹介をすることにしましょう。
三橋亮太
1998年千葉県生まれ。演劇ユニット「譜面絵画」主宰。ユニット内にて劇作・演出を行う。無隣館三期を経て、青年団演出部に所属。日本大学藝術学部演劇学科劇作コース在学。“現実と虚構のあいだに流れるものは想像力である”と定義した上で、作品の内外に立ち上がる現実を応用し、新しい想像力を喚起できるかを模索して作品を作る。ギャラリー、寺院、スタジオなど、劇場だけではなく、様々な場所での作品制作をかさねる。
(青年団公演ページより引用)
無隣館三期の同期で、無隣館若手自主企画を経ずに青年団員になったメンバーの一人です。演出部でもかなり若手の1人でした。(大人びているので年齢を知った時は三度見する位には驚きましたが……!) 若いのに自身の企画は次の公演で第10回を数えるらしく、また、今までに演劇祭で賞を取ったり、2つの戯曲賞でも最終候補にノミネートされたことのある、実力派です。あと、本当にチャレンジングに色々な場所で公演をしている印象です。
今回、リーディングという枠をあえて、つけることによって、その枠の中での可能性をより広く模索しているような印象をうけました。例えば、こう子供に「自由に絵を描いてください」って言ってかかせるより、ある程度お題や制限を持たせた方がより自由な表現が出来るという話がありますが、それを自分自身にやっている感じがします。いつも色んな場所で公演をしているのも、そこに繋がってくるのかな、と勝手に思いました。
前回、宮崎企画の稽古場で、演出家が喋らない稽古場に衝撃を受けた木村ですが、三橋君は逆に積極的に言語化を試みるタイプでした。今回、出演者は少ないながらに層が厚く、多種多様な提案やフォロー、質問や意見が出ていたのですが、そのひとつひとつに正直に、時には迷って時間をとりつつも、なるべく言語化して答えて、応えていこうと取り組んでいました。
言語化に関するエピソードといえば、三橋君の稽古場では稽古開始時にアップを兼ねて大富豪をやっていました。こちらかなり縛りがついているらしいのですが(木村は大富豪のルールを忘れてて見てるだけじゃよくわからなかった)、
「それを1つずつ段階的に教えてくれたんだけど、教え方が上手いんだよ!」
という声が出演者から出ていました。いつか大富豪教えてほしいです。そんなわけで、とにかく言語化が上手いタイプみたいです。
さてさて今度は作品について。『この生』は平田オリザ戯曲で、寄生虫研究室が舞台となっているお話です。この作品の演出では、”リーディング”を複数の形に切り分けると共に、身近なものを発想の転換で扱うような、新しい演出技法を試していました。デジタルなんだけど、細かな手作業、みたいな演出です。演出卓が何かのコックピットみたいになっていました。どう発展していってるのか楽しみです。
『目下』は、私が稽古見学に伺った段階では、スマホやタブレットに台本を表示したものでリーディングする、という手法を取っていました。『目下』は一般的な家が舞台になっていますが、より視覚的に”そこにあっても違和感のない”形になっていました。台本も、さすがに相手は平田オリザなので、差がついてしまわないか?という心配はちょっとありましたが、全然、戦える、同時上演として同居していける、細かく織られた作品になっていました。こちらは稽古では全貌が観られなかったので、本番に伺うのが楽しみです。割と作品の設定が衝撃的なところから始まるんですけど、どうなっていくんだろう……。
今回、青年団の大きな事業たちの裏でちょっと目立ちにくいのが残念ではありますが!『三橋亮太プレゼン』として、とてもバランスの良い公演になったのではないかと思います。やはり、両方、ご覧頂くのがより楽しい公演ではあるのですが、前述の通り、「演出家としての三橋亮太」が気になる方は『この生は受け入れがたし』を、「劇作家としての三橋亮太」が気になる方は『あなたの⽬下には⽔が広がるとして』を是非是非ご覧いただければと思います。
予約をすれば1演目2000円、セット券は3500円と、チケット料金もお安いです。リーディングの名に甘んじない公演になっていると思います。是非、ご検討ください。
当日券情報等は公式Twitterからご確認ください。どうぞよろしくお願いいたします!
**公演情報**
⻘年団若⼿⾃主企画vol.83 三橋企画
リーディング公演「⾃然な未来!」
演出:三橋亮太
作・平田オリザ『この⽣は受け⼊れがたし』
作・三橋亮太『あなたの⽬下には⽔が広がるとして』
2020年2月5日(水)-2月10日(月)
アトリエ春風舎
|コメント|
未来に存在する演劇はどのようなものか、また、自身の新しい方法論を模索するためにも、今回は「現代口語演劇」をアップデート(進化)させてみたいと思います。今回は、ダイアローグで作られた演劇の役割・有効に描ける範囲を見つめ直したいと思っています。
今回のリーディング公演は、様々な枠を外し戯曲を考える機会としての起点にするための試みです。ぜひお越しください。
(三橋亮太)
|あらすじ|
作・平田オリザ『この生は受け入れがたし』
東北のとある大学の研究室。東京から転勤してきた夫婦を出迎えたのは、寄生虫をこよなく愛する研究者たち。寄生虫の小さな小さな視点から、東京と地方、大学と研究室、夫と妻。あなたの周りの「寄生と共生」の関係が浮かび上がります。ちょっぴり可笑しくて不思議な喜劇。
作・三橋亮太『あなたの目下には水が広がるとして』
引っ越しの準備をしている家族。そこに、様々な人々が訪れる。昔の人、これからの人や、死んだ人、未来の私、時間軸を問わず色々な人たちが、家族の引っ越しを聞きつけやって来る。立場が違うそれぞれのコミュニケーションを通し、現在と過去と未来をひとつに繋ぐ劇。
▪︎出演
宮部純子(五反田団)*
新⽥佑梨*
名古屋愛*
坊薗初菜*
佐藤岳
*=青年団
▪︎スタッフ
舞台監督:島⽥曜蔵*
宣伝美術:三橋亮太*
制作:⼤川あやの(譜面絵画)、半澤裕彦*
*=青年団
総合プロデューサー:平田オリザ
技術協力:大池容子(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)
▪︎タイムスケジュール
2020年2月
5日(水) 19:30『この⽣は受け⼊れがたし』
6日(木) 19:30『あなたの⽬下には⽔が広がるとして』
7日(金) 19:30『この⽣は受け⼊れがたし』
8日(土) 14:00『あなたの⽬下には⽔が広がるとして』 / 19:30『この⽣は受け⼊れがたし』
9日(日) 14:00『この⽣は受け⼊れがたし』 / 19:30『あなたの⽬下には⽔が広がるとして』
10日(月) 14:00『あなたの⽬下には⽔が広がるとして』
*受付開始は開演の30分前、開場は開演の20分前
*上演時間は各70分程度を予定
▪︎テーブルトーク
各ステージの後に、およそ30分ほどの感想や思ったことをラフに話せる場(テーブルトーク)を催します。ご参加は自由です。
▪︎会場
アトリエ春風舎
東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅 下車4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)
※公演期間以外のお問い合わせはこまばアゴラ劇場(03-3467-2743)まで。
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。
▪︎料金
予約券:2000円
当日券:2500円
二演目セット券:3500円(予約のみ・数量限定)
*日時指定・全席自由・整理番号付
*未就学児童はご入場頂けません。
▪︎チケット取り扱い
青年団 03-3469-9107 (12:00 – 20:00)
セット券 専用予約フォーム:https://forms.gle/gKSp8KXCW4cQ7KfbA
▪︎お問い合わせ
青年団 03-3469-9107(12:00 – 20:00)
三橋企画 MitsuhashiRyotaKikaku@gmail.com
–
web:https://mitsuhashiryotakik.wixsite.com/3284kikaku
Twitter: @3284Kikaku
協力:五反田団 譜面絵画
企画制作:三橋企画/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場